白塗りの裏側

ヴィジュアル系バンドのボーカルと嘘をついて、平成29年4月26日まで嘘を書いてました

第93回 「あけおめ」

あけましておめでとうございます

 

年末年始は実家の栃木に帰っていた

大晦日に実家に帰り、そのまま飲み潰れてゲボを吐いて目を覚ますと年が明けていて、「いや年越しの瞬間興味ないんかい」とゲボにツッコミを入れて2018年がスタートした

そして二日酔いになって、挙句風邪をひいてしまい、そのまま引きずって体感的には昨日までずっと正月みたいな感じだった

5日に東京に戻ってきて夜はバイト、次の日も昼間は休んで夜はバイト、また休んでバイト、こんな生活を続けていたら治るもんも治らないに決まっている、風邪の方も多分「こいつ、思ってる以上に動くな」とびっくりしていたに違いない

 

偉いもんで、風邪のピークだったときに放送されていた「君の名は。」にはしっかり感動した

手のひらに「すきだ」って書いてあるシーンで体中が熱くなって、「え、これどっちのやつ? 感動? 風邪?」と脳みそに余計なことをさせてしまい反省している、ごめんなさいね

 

こんな状態になってしまったので、超超超久しぶりにアクエリアスとプリンを買った

「いや病人が買うもん買ってるやん……」と情けなくなった、病は気からという言葉を思い出して気合を入れた途端にこれだよ

あと真っ先に焼きプリンを手にした自分に物凄く腹が立った、あとシュークリームも買おうと迷っていた自分にも腹が立った、そうこうしている間にも熱は上がっている

 

おかげさまで今日は何となく体調が戻ってきているなあと思った

咳がまだ残るくらいでノドの痛みも熱もない

正月が遅れてやってきそうだ

第92回 「真夜中」

先日、夜遅くまで先輩と飲んだ

解散したのが3時前、いつもならこの時間は終電を逃しているので、そのまま始発まで飲んだりカラオケに行ったりして時間を潰すことが多い

ただ今回は自転車で移動していたので、始発を待たずに家に帰ることができた

 

3時に外にいるなんてことはほとんどない

12月も半ば、この世の終わりかというくらい寒かった

なのに帰り道、結構外でフラフラしている人間がいて「こんな時間に外にいるなよ、どういう神経してんだ」とブツブツ言いながら自転車を漕いでいた、どういう神経してんだ

 

シメに富士そばを奢ってもらったというのに、無性にパンが食べたくなって、しかも「コンビニで買うのちょっと高いしな~」と酔っぱらっているのにも関わらずお金にちゃんとシビアになる自分にちょっと引いて、吉祥寺のドンキホーテに寄った

3時半のドンキホーテ、店内の照明が4割増で明るく見え、「さっき飲んでたウーロンハイにクスリ入ってたんか?」とクソみたいな疑いを持った、マジでつまらないと今は思う

こんな時間にも関わらずお客さんは結構いた、自分を含め「底辺かよ」と思った

 

さすがにこの時間になるとパンは売り切れだったので、諦めて家の近くにある24時間営業のスーパーに寄ることにした

その道中、絵に描いたような酔っ払いの女性とすれ違った

顔を電柱にくっ付けて、電柱とその女性で漢字の「入」をずっと表現している

ご尊顔は確認できなかったが、小奇麗な服装でとてもそんな状態になるようには思えなかった

もうバスも走っていない、駅からも遠い、近くに居酒屋もない、何故こんなところでフラフラしているのかと頭の中が「???」になってしまい、脳みそが溶けだす前にスーパーに寄った

パンを買いながら、もしまだ女性が「入」を表現していたら声をかけようと心に決めた、その優しさ、さながらしょくぱんまんのようである

店を出て、来た道を戻ると、その女性はすでに別のしょくぱんまんに介抱されていた

 

一足遅かった

女性が「申し訳ありません……」とボヘミアンのような声でずっと呟いている

「いやそんな声してたんかい!」と笑いそうになってしまった

 

心にちょっとだけあった下心が、一瞬にしてなくなった

第91回 「ファミチキ」

家に帰る道中に塾があって、22時過ぎくらいにそこを通ると勉強終わりのがき達がわらわらとたむろしている

戦国無双だったらめちゃくちゃ爽快だなあ」と思いながらいつもそこを通り、たまたま近くのコンビニに寄った時の話

 

コンビニはがき達で溢れ返っている、中も外もがきだらけ

がき達をよく見てみると、揃いも揃って皆ファミチキを喰らっていた

さながら仕事終わりのサラリーマンがコンビニ前で煙草を吸いながら発泡酒を飲んでいるかのよう、「お疲れさんです」とサイレントで声をかけつつその光景を眺めていた

 

ふと「ファミチキ食べたことないなあ」と思った、そして「あ、からあげクンも食べたことないなあ」とも思った

別に嫌いという訳でもなくて、たまたま食べるタイミングがなかっただけの話

がき達が美味しそうにファミチキを食べている姿を見て、「大人なのに今キミ達が食べているそれの味を知らないんだ」と思うと急に恥ずかしくなり、逃げるようにコンビニから出てきてしまった

道中、「ファミチキってどんな味なんだろう」と想像しながら自転車を漕ぐ、そしてあっという間に家に着いた、バカかよ

 

初めてファミチキを食べるタイミングは、完全に今だった

またファミチキを食べるタイミングを逃したようだ、しばらく食べるタイミングもやってこないだろう

将来生まれてくる自分のがきに、ファミチキの味を教えてもらおうと思う

第90回 「名もなきあれ」

昨夜、自転車を漕いでいたら警察官に止められた

30m先の横断歩道に警察官が二人立っていて、「あー、ヤバいなー」と思いつつ私が二人に近付いていくと、向こうもそれに合わせて「待ってました、ヘヘヘ」と言わんばかりに近付いてくる

横断歩道までは脇道もなく、二人を撒くことは不可能だ

案の定「ちょっといいですか?」とガッチリ止められ、私はめちゃくちゃ不機嫌な顔をして自転車から降りる

 

そりゃ止められる訳だ、だってライトを点けていないのだから

10:0でこっちが悪いのに、警察官に止められるとめちゃくちゃ不機嫌な態度になってしまう「あれ」をやってしまった、誰か「あれ」に名前を付けてほしい

「ライト点けないで自転車に乗ってて警察官に止められたらさー、こっち100%悪いのに何かムカつかない? あれって何なん?」っていちいち言うのめんどくさいし、そんでまたこの話題って結構頻繁に出てくるし

 

兎にも角にも、「あれ」をまたやってしまった

そして「いや、ここにライトあるんですけど、今ちょっと壊れてんすよ」と「ちょっと前までちゃんとライト付けてたんですよアピール」を過剰にする

たぶん警察官もこのアピールは見慣れてるし、100均で売ってる雨に濡れたら一発でダメになる自転車のライトにも見慣れている

しかし警察官は全然不機嫌な顔などせず、淡々と仕事をこなす

 

「偉い~~~~~~!」って毎回思う、いや私が警察官だったらキレちゃう案件なのに

それに比べて私は何だ、ライトを買ってくっ付けりゃ済むだけの話なのに、それをめんどくさがってさらに「何で止められなきゃいかんのだ」と言わんばかりの態度をぶちかまし、エア舌打ちの連続だ

末端の教育を受けてきたのかと絶句してしまう

 

でもこの話をするとほとんどの人が「いや俺も同じよ~」と共感してくれるので、「末端の教育を受けてきたのは私だけじゃないのね」と安心して眠りにつき、次の日の朝には忘れている

そしてまた警察官に止められて、「あれ」をぶちかましてしまうのだ

第89回 「無念」

ゴミを出すことができなくて絶句している

また1週間、このパンパンのゴミ袋と一つ屋根の下で暮らさないといけないと思うと、「ヤダなあ」としか言いようがない

そして「ヤダなあって何だよ」と自分の語彙力の無さにまた絶句している

 

ちゃんと昨日の夜「明日はプラスチックゴミの日だ」ということは分かっていたし、何なら昨日の夜出しておけばよかったと後悔している

ただここ数日でめちゃくちゃ寒くなったじゃない、そりゃ外に出るのも億劫になるよ

たかだか数十秒外に出るだけなのだが

 

「12時過ぎても回収に来てないこと結構あるし、幾ら朝のバイトないからって昼過ぎまで寝ることもないから、まあ明日で大丈夫でしょう」と昨晩の私

 

自分を甘くした結果がこれだ

11時前に起きて、外を見たらちゃんと回収に来てやんの

「おいちゃんと回収に来てんのかい!」と間違った雄叫びを上げた

一回部屋に戻ってもう一回外に見に行っても、ゴミ回収業者がちゃんとゴミを回収に来た後だった

同じく出掛けようと思って玄関を開けたら雨が降っていて、「一回閉めてもう一回開けたら雨やんでねえかな」と思い一回閉めて、もう一回開けてもちゃんと雨が降っていて「クソがよ!」とキレるやつをよくやってしまう、話がそれました

 

また1週間、パンパンのゴミ袋と衣食住を共にしないといけなくなってしまった

ゴミもさぞかし嫌だろうに、こんなパンパンの袋の中に詰め込まれて

誰がこんなパンパンになるまでほっておいた、そう私がほっておいた

第88回 「知らないこと」

先日送った年金の審査の書類が戻ってきてしまった

どうやら「課税証明書」というものが必要らしく、戻ってきた書類にああだこうだと書かれていたが、何のこっちゃさっぱり分からない

まだまだ知らないものが世の中にはあるんだな~と、空を見上げ腕を組んでしまった知っていなきゃいけないものがまだまだ世の中にたくさんあるみたい、「宇宙の広さ、始まり」なんかに目をキラキラさせている場合ではないなと思った

 

最近、住民票を実家の栃木から東京に移してからというもの、今回のようにめんどくさいことが多々ある

コールセンターに問い合わせたら「栃木の方の市役所へ送ってくれ」と言われたので、担当者に小説のような分量の説明を受け、「もし分からないことがあればホームページを」と言われ、電話を切ってすぐホームページにアクセスした

「証明書を発行するのにお金が掛かる」ということを知り、また一つ空を見上げ腕を組んでしまった

よく自分はこんな世の中で、何も知らずにノホホンと暮らしているな~と、ちょっと誇らしくもなった

 

証明書1枚200円、私が用意しなくてはいけないのは3枚

しかも郵送では現金を使うことができないので、「定額小為替」という金券のようなものに換えて一緒に送ってくれとのこと

しかもこの「定額小為替」を発行するのにも手数料が発生する

1枚100円、600円分用意するには「500円分」と「100円分」の小為替が1枚ずつ

そして返信用の封筒も切手を貼ってこちらで用意しなくてはならない

私が幾ら稼いだか、幾ら税金を払ったかを証明するのに、切手代を含めて合計964円掛かってしまった

 

ギュッと水気を絞った雑巾くらい絞り取られている

絞り取られるという表現も語弊があると言えばそうなのだが、こちらとしてはそう思ってしまうのも無理はない

郵便局で封筒を出したとき、自然と「なんでやねん」と言ってしまった

そして昨日、送った書類が戻ってきて「こちら(栃木)の方ではデータが無いようなので、東京の市役所へ行ってみてください」とあった

 

いやパソコンが何ぼのもんじゃい

1億総パソコン社会のこの時代に、データが無いなんてことあるのかと両手を広げてWhy?だった

ワイファイどうなってんだよとか、ブルートゥースどうなってんだよとか、パソコンに詳しい人からしたら「お前がどうなってんだよ」と言われてしまうようなところで憤っていた

東京の市役所の窓口に行けば小為替は必要ないし、郵便で送る必要もない

調べたら、東京の市役所では証明書の発行をするのに1枚300円掛かるらしい、東京の物価どうなってんだよと思った

 

この時点で幾らマイナスになったか、想像もしたくない

そして東京の市役所に行ったら「こちらにもデータが……」と言われ30分近く待たされ、「何なんだろう……、住民票移したのは今年ですよね……、あれー……」とめちゃくちゃ難攻してますアピールをしながらバックヤードへと引っ込み、数分後に「分かりました!」と勝訴の紙を持って裁判所から走ってくるアナウンサーの如く、バックヤードから証明書を持って飛び出してきた

私は何を見せられているんだろうかと思いながら、「良かったです」と聞こえるか聞こえないかの声量で呟いた

 

こんな何百円のことでカリカリしないように頑張ろうと思い、また腕を組んで空を見上げた

第87回 「馬のエサ」

昨夜、深友から突然連絡があって、今日は大井競馬場に行ってきた

新宿のウインズという場外馬券場には行ったことがあったが、ちゃんとした競馬場に行くのは初めて

競馬場に行く時に最も必要な「お金」は無かったが、昨今の競馬ブームからくる「ミーハー」はメチャメチャあったので二つ返事でオーケーした

 

大井競馬場は浜松町からモノレールに乗った先というメチャメチャ遠い所にある

何故か今日は浜松町までが特に長く感じ、その理由は「品川の次だと思っていた浜松町が田町の先だった」という、とてつもなくしょうもないものだった

そして「交通費は絶対に取り返してやる」という、とてつもなくしょうもない野望も燃えていた

自ら進んで行っているのだから「取り返してやる」もクソもない、放っておくとすぐ心いと小さき人になってしまう

 

深友と待ち合わせ、大井競馬場の中に入る

まさか入場料を取るとは、交通費も合わせるとこの時点で結構マイナスになっている、これは勝つしかあらへんがな

到着も早々に馬券を買うことになった

しかし私は競馬の知識が「ダービースタリオン」で止まっている、競馬場の人間からしたらあの場で一番のカモだ

そんなカモが何の根拠も無いのに「このレースは荒れるな」とかほざいてみる

冷たい風がピュウと吹いて、競馬場に潜む何者かから「あ、そういうの要らないから」と説教のトーンで言われたような気がした

 

実際に生で競馬を観ると迫力が凄くて、地面を蹴りつける馬の足音やら砂埃やら、順位そっちのけで観入ってしまった、とても感動した

メチャクチャ感動したけど、負けてしまった

流れる涙は感動の涙か敗北の涙か、それはご想像にお任せします

とりあえず、私のなけなしのお金は馬のエサ代となって消えてしまった

 

あと、意外と女性が多くてビックリした

競馬場をデートで使うカップルもいるとは聞いていたが、カップルもそうだし、女子会みたいな感じで来ているグループもたくさんいて、歯抜けジジイなんてとんでもなかった

女の子ってだけで、缶ビールを飲みながら競馬を楽しむ姿もそれはそれは画になってしまう

まあ、そもそも発泡酒を飲んでいる女の子なんぞ確認はできなかったが

もれなく皆、期間限定のよく分からないオシャレなフレーバーのビールを飲んでいた

 

ワンカップを飲んでいた人も、少なからず「ちゃんと」いた

競馬場はやっぱりこうでなくっちゃ