第81回 「旧友」
小中学校の同級生と飲みに行った
未だによく遊ぶ地元の同級生がいて、元々はそいつと東京競馬場に行く予定だった
そしてそいつが他の同級生を連れてくるってんだからガクブルが止まらない、何せ中学校の卒業式以来会ってないのだから
久しぶりに会う同級生たちは中学校時代まあまあの仲だったのだけど、この10年弱でその仲の良さの貯金はゼロになっている、これほど恐いものはない
結局急な用事ができてしまい、私は競馬場には行けずその後の飲み会から途中参加になった
新宿アルタ前で同級生たちを待つ
あの「笑っていいとも!」がやっていた場所の前で待つなんて、中学生時代の私からしたら考えられない
ちょっとしたワクワク感と緊張感で死にそうになった
集合時間を過ぎた頃、チラッと周りを見たらそれらしき連中が目に入った、っていうかたぶんそれだ
私は待ち合わせで先に着いて相手を待つ立場になったとき、向こうから相手がやって来るのに気づいても、自分から「ここにいるよモーション」を起こすことができない
「おーっす!」と手を挙げながら相手に向かって行くことがちょっと恥ずかしい、だから先に気づいても「気づいてないフリ」をして相手から声を掛けてくるのを待つ
「待ってました! 楽しい夜にしようぜ!」感を出すのが苦手だ、凄い楽しみにしてたけども
同級生たちはまんまとその罠に引っかかった
しかし不思議なもので、10年会ってなくても一瞬であのときのポジションにスッと納まる、いじる奴いじられる奴、2日ぶりに会うみたいだった
特に会話が詰まることも無く近くの居酒屋に入る
雰囲気はあのときのままなのにみんな煙草を吸うしお酒も飲む、パラレルワールドに迷い込んでしまったみたいだ
仕事の悩みの話になったときは、いよいよ出られなくなってしまうんじゃないかと思った
しかし私は未だにバイト生活なもので、大したアドバイスもせず延々とみんなの話を聞いて吸収していった、さて、どこで吐き出してやろうかな
21時前になって一人帰り、残った奴らでビリヤードに行った
それはそれは素敵な時間だった、久しぶりに良い時間を過ごさせてもらい、良いお金の使い方をした
こんなに楽しかったのに、また明日も会いたいと思わないのは何故だろうか
そりゃ小中とほぼ毎日のように顔を合わせてたらそりゃそうか
もうすでに人生で顔を合わせる回数が決まっていて、「それに合わせて私たちは動かされているのだろうな」と難しいことを考えてしまった