第85回 「浄化」
自販機補充の横乗りのバイトばかりしている
何回か入ってみて、やっと当たりドライバーはずれドライバーが分かってきた
まず歩いているお年寄りに悪態をつくドライバーははずれ、というかそんな人間はそもそも人としてはずれだ、お前もいつかああなるんだから
あと運転がへたくそな他のドライバーに舌打ちを連発するドライバーもはずれ、いや私の姿が見えていないのか
先日もドライバーに仕事が遅いと思われたのか、隣で何回もデカいため息を吐かれた
「いやここの業者は初めてなんだから大目に見てよ~」と欽ちゃんの如くふにゃふにゃをかましたのに、全く響かなかった
「まあドライバーさんも毎回初めましての人が多いんだから仕方ないか」と言い聞かせたが、2日も経てばそんなことは忘れてしまう
イライラが込み上げてきて、「ああ何て情けない」と自分にがっかりしてしまった
打って変わって今日のドライバーは神様のようだった
仕事はほとんど独りでやるし、私はほとんど助手席で待機
そんな私に嫌味一つ言わず、おまけにジュースまで頂いて、挙句終了の2時間前に「もう帰っちゃっていいよ」と早上がりにしてもらった
そんなことあるのかと思いながらも、「ああ、何か腐っていくなあ」とも思った
何もしない、しかしその場には居ないといけない、まさに時間を売っているという感覚
決まっていた解散場所とは1つ2つ離れた駅でさよならしたのだけど、ずっと座っていたし、時間も余ったので歩いて帰ることにした
徒歩30分強、初めて歩く都会の中に流れる川のせせらぎを耳にした
落ちる夕陽、川のせせらぎ、何か、よくないですか?