白塗りの裏側

ヴィジュアル系バンドのボーカルと嘘をついて、平成29年4月26日まで嘘を書いてました

第24回 「存在感」

バイト先の休憩室の一角に喫煙スペースがありまして

 

休憩室という箱の中に、喫煙スペースという箱がまたある

その箱はガラス張りになってて、誰がたばこを吸ってるか分かるし、そのガラスにはちょっと前まで「たばこを吸っている男」という謎のイラストがたくさん貼られてました

 

さすがに誰かが「気が狂うんですが」と異議申し立てたのか、今は全部はがされてます

そんな見世物小屋の中でたばこを吸ってたときのこと

 

休憩室には私独り

従業員が一人入ってきて、見世物小屋の隣にある自販機でドリンクを買い、休憩室の電気を消して出て行きました

 

私、ここにいるよ

たばこの灯りだけがぼうっと残ります

 

これ、一度や二度じゃないんですよ

確かに私とあなたの間には薄い1枚の板がありますが、さすがに空気というか、見えない人間の匂いで人がいるかどうか分かるでしょ

 

みんな馬鹿の一つ覚えの如く、休憩室から出て行くときに電気を消しやがる

 

たまに電気を消した直後、私の念を察知したのか「ああ、すいません」と言って電気を点ける人もいます

テメェもテメェだけどな

 

みんな運転免許持ってないんか

「かもしれない運転」を血反吐が出るまで習っただろうが

 

私の存在感が薄いのかしら

なんて馬鹿ことを思うのはもうヤメにして、自分に素直に生きて行こうと思います

ばかたれが

 

休憩室の電気が点いていたら、そこに誰かがいるかもしれない