第108回 「いや桐谷美玲じゃねえんだから」
月に一度、お世話になっているスープカレー屋さんが下北沢にある
マンスリーカレーという、その月にしか食べられない特製のスープカレーを毎月食べに行くようになって今月で4ヶ月目、今月(7月)は夏野菜のラタトゥイユ風カレーだった
非常にヘルシー、ズッキーニがイヤらしい目でこちらを見ていた
朝から何も食べていない、最高のコンディションでお店の扉をカランコロンする
目の前に運ばれたスープカレー、とりあえず写真を一枚、思わず写真を一枚パチリしてしまうことで、私がこの日をどれだけ楽しみにしていたかふと気付かされる
カレーを残した
改めて自分の食の細さに愕然とした
全然食えねーでやんの、ツレもだいぶ引いていた
先日、ケータリングで頂いた吉野家の牛丼並をヒィヒィ言いながら食べ切ったことを思い出す
周りは牛丼並を食べた後、広げてあったフラガールのロゴが印刷されている成城石井辺りにしか置いてないポテチをつまみにつまんでいた
私の胃酸は周りに比べて微炭酸なんだなと思った、ウィルキンソンのような強炭酸の胃酸が欲しい
私はあまりご飯を残すという行為をしない
バイト先の賄いも大体私のお腹のキャパシティをゆうに超える量が出てきてしまうのだが、見えない涙を流しながら胃の中にぶち込んでいる
美味しいんだけどね、美味しいんだけど私には無理だ、もうこれ以上体は成長しないのだから
この暑さのせいもあって、体が上から下から大騒ぎになってしまうので「少な目でお願いしゃす」という言葉を最近覚えた
残されたスープカレーを片付ける店員さんに「お腹いっぱいになっちゃって……、すいません……」と申し訳なさそうに言ったのだが、「いえ……」とテンション爆下がりもいいとこだった
まさか作ったご本人に片付けさせてしまうとは、何の為にホールスタッフがいるのだ
客観的に観て、こんな食の細い人間は飯屋に行くなと思う
家に帰ってつまみにんにく一袋をつまみに、強炭酸で作ったブラックニッカのハイボールでも飲んでひっくり返ってしまえ