白塗りの裏側

ヴィジュアル系バンドのボーカルと嘘をついて、平成29年4月26日まで嘘を書いてました

第67回 「厳禁」

バイト先のスーパーで、auとのコラボキャンペーンなるものが行われていた

普段はauショップで働いているであろうスタッフの女性が2人、普段は何をしているんだか分からない、入り口でボードを持ちひたすらに客引きをするコンパニオンの女性が1人

アンケートに答えるだけで人参、じゃが芋、玉ねぎをプレゼントするという、これはもうルーを買うしかない

私はドコモユーザーなので無視してきたが、客引きのコンパニオンの女性は無視できなかった

 

スタッフの女性2人もキレイ目ではあったのだが、客引きのコンパニオンの女性はさらに頭一つ抜けていた

出来損ないのノースリーブにau色のホットパンツ、お腹に力を入れないと出せないような柔らかい声で男たちを誘い、謎のアンケートをさせる

どうしてもレジ打ちをしている人や品出ししている人と比べてしまい、「このスーパーで働いてる女性が束になってもかなわねえな」とちょっと切ない気持ちになった

 

たまたま休憩室でそのコンパニオンと一緒になり、今日イチの距離で改めてお顔を拝見したら、髪型とも相まってPerfuneの「のっち」みたいだった

休憩室には「のっち」の他にご飯を食べながらタブレットでツムツムをやってる人、2Lのアクエリアスを飲みながら「目、悪くなるよ」と言いたくなってしまうくらいの距離でガラケーをいじっている人がいて、その光景はまさに「たんぽぽ畑を飛んでいる1匹の蝶と2匹の蛾」のそれだった

 

声をかける気なんてさらさらないのだが、もし声をかけるとしたらどういう話題で行こうかと煙草を吸いながら考え、「やっぱauユーザーなんすか?」という当たり障りのない台詞で行こうと思ったとき、2匹の蛾がたんぽぽ畑を離れて行った

2人ともドアを「バタン!」と閉めるタイプでもう救いようがない、せめてドアくらい静かに閉めろ

 

声をかける気なんてさらさらないのだが、もし声をかけるなら今だなというタイミングで蝶もたんぽぽ畑を離れて行く

 

こいつもドアを「バタン!」と閉めるタイプの奴だった

残された私は2本目の煙草に火を点け「COOLだね」と呟き、声をかけときゃよかったなと少し後悔した