第69回 「危険な賭け」
8月も終わり9月になった
あっという間の8ヶ月、うんこみたいな8ヶ月
月の初めは気持ちも新たに「今月は身になる1ヶ月にしよう」と心に決めるが、9月に入って2日連続自慰行為をしてしまった
2日合わせて1時間弱しか時間を使わなかったことだけは褒めていただきたい、今月も張り切って生きていくぞ
今日の夜はバイトだった、といっても暇だったので早上がり、もう家に帰って来ている
夜のバイトはまかないが出るので、いつもは昼間何も食べなかったり、ちょっとだけをお菓子をつまんだりし、腹減りを調整してバイトへ向かう
バイト先のまかないにはルールがあって、出勤したときにお客さんがいなければ「今のうちに食っちゃえ」とすぐまかないが出てくるが、お客さんがいると「それどころではない」ので後回しになる
後回しの連鎖が止まらなくなると、あれよあれよとまかないを食べるのが21時過ぎになったりする
だからバイト前にご飯を食べておいた方がいい場合もあって、見極めるのが非常に難しい
まかないは非常にしっかりしたメニューなので完全なコンディションで食べたいのだが、この危険な賭けにはよく負けてしまう
昼間は別のバイトがあって、ご飯を食べるのがどうしても15時頃になってしまいそうだった
夜のバイトは18時から、今日は土曜日、出勤したらお客さんがいる可能性は非常に高い
どうしようかと悩んだ挙句、ちょっと遅めの昼ご飯を食べることにした
昼のバイト終わりによく通っているパン屋さんに寄ってパンを買う、かったいかったいフランスパンとクロックムッシュ、まさに勝ち組の昼ご飯
お腹いっぱいになり、ちょっとお腹を休めて夜のバイトへ向かう
休憩3時間じゃお腹は全然減りません、しかし今日は土曜日なのできっとお客さんはいるでしょう、この危険な賭け、今回は私の勝ちだ
お客さんはいなかった、ああ、3時間前の私を殺したい
もうすでにまかないは作り始まっている、今さら「今日はまかない要りません」なんて言えないじゃない
今日のまかないは「手羽先のからあげ定食」、完全に失敗した、当たりのまかないだ
自分のお腹に軽いジャブを打ち込むという謎の行為でお腹を減らそうとしたが無駄だった、こんなときばかり盛られた白飯の量が多い、仏壇の白飯じゃないんだから
まかないを食べ始めようとしたら、常連さんがやってきた
いつもならお客さんから見えないキッチンの後ろで食べるのだが、この常連さんは「こっちで食べなよ」というタイプの人
常連さんの座っている席の前の席でまかないを食べ始めることに
こんなときばかり多く盛られた白飯を処理していたら、常連さんが「これ、美味いよ」と自分が注文したでっかい油揚げを差し出してきた
いやこんなときばかり油揚げを差し出してくるなよ、有り難いけど
一切れの半分を貰おうとしたら、「食え食え」と二切れよこしてきた
「私、飯をいっぱい食べるタイプの若者じゃねえんだわ」、届かない叫び声が空を斬る
腹が爆発しそうになったが何とか食べ終えた、体中の穴という穴からご飯粒が出てきそう
「おう、食い終わったか、じゃあ1杯飲め」
いやこんなときばかりビールを飲ませようとするなよ、有り難いけど
お店が真っ暗だったら、フォアグラを作るときのガチョウの肝臓の肥大させ方のそれだ
さすがにビールは飲み切れなかった
まだこの危険な賭けに勝ったことは一度も無い