第91回 「ファミチキ」
家に帰る道中に塾があって、22時過ぎくらいにそこを通ると勉強終わりのがき達がわらわらとたむろしている
「戦国無双だったらめちゃくちゃ爽快だなあ」と思いながらいつもそこを通り、たまたま近くのコンビニに寄った時の話
コンビニはがき達で溢れ返っている、中も外もがきだらけ
がき達をよく見てみると、揃いも揃って皆ファミチキを喰らっていた
さながら仕事終わりのサラリーマンがコンビニ前で煙草を吸いながら発泡酒を飲んでいるかのよう、「お疲れさんです」とサイレントで声をかけつつその光景を眺めていた
ふと「ファミチキ食べたことないなあ」と思った、そして「あ、からあげクンも食べたことないなあ」とも思った
別に嫌いという訳でもなくて、たまたま食べるタイミングがなかっただけの話
がき達が美味しそうにファミチキを食べている姿を見て、「大人なのに今キミ達が食べているそれの味を知らないんだ」と思うと急に恥ずかしくなり、逃げるようにコンビニから出てきてしまった
道中、「ファミチキってどんな味なんだろう」と想像しながら自転車を漕ぐ、そしてあっという間に家に着いた、バカかよ
初めてファミチキを食べるタイミングは、完全に今だった
またファミチキを食べるタイミングを逃したようだ、しばらく食べるタイミングもやってこないだろう
将来生まれてくる自分のがきに、ファミチキの味を教えてもらおうと思う