白塗りの裏側

ヴィジュアル系バンドのボーカルと嘘をついて、平成29年4月26日まで嘘を書いてました

第85回 「浄化」

自販機補充の横乗りのバイトばかりしている

 

何回か入ってみて、やっと当たりドライバーはずれドライバーが分かってきた

まず歩いているお年寄りに悪態をつくドライバーははずれ、というかそんな人間はそもそも人としてはずれだ、お前もいつかああなるんだから

あと運転がへたくそな他のドライバーに舌打ちを連発するドライバーもはずれ、いや私の姿が見えていないのか

先日もドライバーに仕事が遅いと思われたのか、隣で何回もデカいため息を吐かれた

「いやここの業者は初めてなんだから大目に見てよ~」と欽ちゃんの如くふにゃふにゃをかましたのに、全く響かなかった

「まあドライバーさんも毎回初めましての人が多いんだから仕方ないか」と言い聞かせたが、2日も経てばそんなことは忘れてしまう

イライラが込み上げてきて、「ああ何て情けない」と自分にがっかりしてしまった

 

打って変わって今日のドライバーは神様のようだった

仕事はほとんど独りでやるし、私はほとんど助手席で待機

そんな私に嫌味一つ言わず、おまけにジュースまで頂いて、挙句終了の2時間前に「もう帰っちゃっていいよ」と早上がりにしてもらった

 

そんなことあるのかと思いながらも、「ああ、何か腐っていくなあ」とも思った

何もしない、しかしその場には居ないといけない、まさに時間を売っているという感覚

決まっていた解散場所とは1つ2つ離れた駅でさよならしたのだけど、ずっと座っていたし、時間も余ったので歩いて帰ることにした

徒歩30分強、初めて歩く都会の中に流れる川のせせらぎを耳にした

落ちる夕陽、川のせせらぎ、何か、よくないですか?